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06.FEBRUARY 2018

昨年の事例になってしまうのですが、とてもコンセプチュアルなお式のアイテム作りをしました。

結婚式にコンセプトを設けるというお式は珍しくなくなりました。
私も、そのようなお式でデザイン関係のご依頼を多くいただいています。
お話やメールから、お二人がどのようにこの1日を迎えようとしているのか伺います。
ちょっと大げさかもしれませんが、ペーパーアイテムをオーダーで作る意味、
デザインに込める意図など、ただなんとなく「コンセプトがある式だから全部オリジナルで」とか、
「かっこいいから」とか、「今っぽいから」とか、
そういう処理で終わらないような、
その時のお二人だからこそ作れるデザインを作りたいと思っています。

このお二人のコンセプトは「ハレノヒ」でした。
"二人が一緒なら雨にふられても心は晴れるから、毎日がハレノヒ"
ではじまる、とても素敵なストーリーでした。
ロゴと、ペーパーアイテムをデザインしました。

結婚式の一日が終わってもずっと使えるロゴを、というご希望があり、
たくさん候補を考えましたが、最終的にこのときは
"色を固定しない"ロゴを作りました。

ロゴの輪郭はパートナーと同じ。常に一緒です。
でも二人が見る景色は、その一瞬は生きている限り二度と来ない。
背景の色を固定しないことで、そういう儚さみたいなものも感じられたらいいと思いました。

招待状の形式はロゴを決める時に、もうなんとなく頭にあって、
「流れる時間」を「定まらない色」として、ロゴに重ねようと思っていました。
情報量が多かったので、蛇腹折りの形式にしました。

表紙は透明シートにロゴを載せ、二つの丸が透けて見えるようにしました。
ゲストはシートを外して「これなんだろ?」と見てほしかったのです。
ゲストの目からロゴを通して見える景色も、お二人の結婚式には大切なものでした。

四文字のカタカナは、命あるモチーフがよかったので、植物を使いました。
背景にどんな色を持ってきても、輪郭はロゴとして存在感を出せるように、細かめに描きました。
(このときはアナログで描いてからデジタル化しています)

花が咲いてたり根っこが出てたり幹が朽ちてたりするロゴになりました。
当日、ゲストの方の反応を見ることができたのですが、
細かい部分までよく見てもらえて嬉しかったです。

"コンセプトは決まったけどで、具体的なビジュアルの想像がつかない"
"招待状は時間がなくて、コンセプトに沿ったものが作れるか不安"
これからお式をするお二人から、よくご相談される内容です。
「とにかく早くできて」「イメージにぴったりで」「リーズナブルなもの」
これを同時に確立したものは、残念ながら、クリエイティブなものとしては存在しないと思っています。
(とにかくいそいで、なんでもいいから安く作って、という仕事でうまくいくことはありません。)
でも限られた条件の中で、結果を出すのが私たちデザイナーの仕事です。
例えば予算のない仕事はないですし、それは個人のお客様でも企業の方でも一緒です。
与えられた条件で、いまできる最大の結果を出すべきだと考えています。

この"ハレノヒ"のように、コンセプトの実現にむけてどうしたらいいのか、
これからご相談いただけるプランナーさん、新郎新婦さんには、考えていること、好きなこと、嫌いなこと、色々聞かせて欲しいです。
考えて作っていく時間は、お二人にとっても一生に一度だと思うし、
私にとっても一期一会の貴重な機会です。
たった一回だけのご依頼で絶対に満足してもらうために、
自分のデザインの基本は磨きつつ、新しい見方もどんどん取り入れていきたいな、と思います。
お話を伺って、はじめて知ることも多いし、素敵な考えはなるべく壊さずそのままデザインに反映させたいなと思うことも多いです。
結婚式のデザインってなんだろ?って思っている方には、こんなやりかたもあるよと
思ってもらえれば幸いです。

めっちゃ長くなってしまいましたが。。コンセプトデザインとお式の例でした!